Luminar Neo7/28アップデート
Luminar Neoが7/28日にアップデートされました。
ここで新機能「HDRマージ機能」が追加されました。
この機能は以下で説明するようにHDR画像を作成する機能です。
なお、この機能はLuminarNeoの拡張機能であり、LuminarNeoを持っている方は追加料金を支払うことで使用することが出来るようになります。
(LuminarNeoを持っていない方は、同時購入も可能なようです。)
購入は以下公式サイトでどうぞ。
HDRとは
HDRとはHigh Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略称です。
HDR合成(統合)という技術は複数枚の露出を少しずつ変えた写真を一枚に統合するというものです。
これにより階調豊かな表現を可能になり、見たままの世界を描写出来るようになります。
明部や暗部で飛んだり、潰れてしまいがちな部分の色が保持されたり、光の階調が滑らかになることで、被写体の細部まで色鮮やかに描写出来ます。
例えば、昼間の明るい時間帯に明るい空と暗い被写体を一緒に撮ろうとしたとき、白飛びを避けようとして明るい空に露出を合わせると、暗い被写体は黒つぶれしてしまい、逆に暗い被写体に露出を合わせると明るい空が白飛びしてしまったりします。
そうすると白飛びや黒つぶれ部分は色情報が不足することとなり、色が描写されません。
そのような場合にHDR統合することで、明るい空については複数枚の写真の内、暗く写った部分を合成し(比較暗合成)、暗い被写体については複数枚の写真のうち明るく写ったものが合成されます(比較明合成)。
そうすることで、明るい空も、暗い被写体も適正露出となり、加えて光の階調が滑らかになることで、被写体いずれについても色彩豊かな描写がなされます。
HDRマージとは
今回のLuminarNeoの拡張機能の「HDRマージ」のマージとは英語で統合という意味です。
つまり、上で書いたように、画像のHDR統合を行うアプリということですね。
旧Aurora HDR
実はADR統合ソフトをskylum社は以前からずっと作っています。
そのソフトの名称は「Aurora HDR」と言います。
Luminarシリーズと並んで、skylum社の主力商品でした。
「でした」というのは、今回のHDRマージの販売開始と同時にAurora HDRの販売を終了したからです。
skylum社としては、Aurora HDRを主力商品Luminarに統合したという形なんでしょうね。
だからこそなのか、販売において結構強気です笑
(なお、旧Aurora HDRをお持ちの方は今回LuminarNeoのHDRマージを無償で使用出来るようです。)
価格
6270円です。
これかなり高いですね。
強気の価格設定です。
skylum社はHDRマージをLuminarNeoの拡張機能ではなく、旧Aurora HDRと同様の独立したソフトと考えているのでしょうか…
本音レビュー
本当は、いつもガッツリと使わせてもらっている大好きなLuminarに対して、あまり悪い評価はしたくはないです。
しかし、読者の皆さんに嘘をつくわけにもいきませんし、このブログは本音が鉄則なので、今回は率直な感想を書かせてもらいます。
(なお、LuminarNeoHDRマージを絶賛されている他サイトさまを否定しているわけではありません。正直どうかと思う部分はありますが、何か深い事情があるのかもしれませんので…)
使い方
まず上部のタブより「カタログ」画面にします。
次にキーボードの「Ctrl」「Shift」キーを押しながら、統合したい画像を選択します。
統合は1~最大10枚出来ます。
ここでは一般的な3枚を統合します。
選択したまま、右の「HDRマージ」と書かれている場所(赤マル部分)に画像を「ドラッグ・アンド・ドロップ」します。
すると、「HDRマージ」の場所に統合予定の画像が表示されます。
統合予定の画像が表示されたら「マージ」ボタンを押します。
すると統合画像が左の「HDR Marge」フォルダに作成されます。
使用してみた感想
HDRマージにかかる時間
1枚につき5~10秒くらいと意外と時間がかかります。
これはLuminarシリーズの初期と同様、バッググラウンド処理等をせずに、1から処理を行うので時間がかかるのでしょう。
Luminarシリーズの他の機能のように時間短縮のアップデートが待たれます。
実際に使用してみた
今回はこの3枚でHDR画像を作ってみます。
真ん中の写真を中心に左右に露出を±0.3EVずつ変化させています。
(ちょっとわかりにくいかもしれません。)
この露出を前後に変化させた画像は後処理(RAW現像時)で作るのではなく、必ずブラケット撮影として撮影時に行わなければなりません。
(つまり、撮影時に露出をズラした3枚と撮る必要があるということです。詳しくはお使いのカメラの説明書をご覧ください。)
ブルーアワーの撮影なので、あまり露出を下げすぎると黒つぶれが起き、黒つぶれしないように露出を上げると空が明るくなりすぎてしまうという、なかなか難しい環境での撮影です。
そして、これが、出来上がったHDR画像です。
あれ…?なんか全体的にブレてませんか…?
細部を拡大してみましょう。
拡大してみれば明らかですね。
え?元画像が手ブレしてるんではないかって?
それについては統合前の3枚の画像を見て頂ければ、おわかり頂けると思います。
また、以下でご紹介するLightroomでのHDR画像をご覧頂ければ手ブレではないと確認頂けると思います。
Lightroomで作ったHDR画像との比較
こちらは全く同じ3枚の写真をLightroomClassicで統合したHDR画像です。
手動補正等は一切行っていません。
LuminarNeoのときとは違い、Lightroomではほとんどブレが出ておらず、キレイに仕上がっています。
このことから、元の3枚の画像に手ブレはなく、この3枚でもキレイなHDR画像を作ることが出来ることがわかります。
比較
この2枚を見比べてみると一目瞭然ですよね…
以上より、この統合後の画像のブレはカメラや元画像、メタデータによるものではなく、LuminarNeoが原因ということになります。
すなわちLuminarNeoのHDRマージの合成精度がとてつもなく低いことがわかります。
それにしてもLightroomの方のHDR画像はキレイですね…
他に作ってみた画像
別写真でも何枚がHDR画像を作ってみたのですが、ほぼ全ての画像で「ブレ」が生じていました。
んー今のままでは少し使うのは難しそうです。
正直必要か?
以上のような使用感の上でLuminarNeoHDRマージは買う必要があるのでしょうか…?
結論から言うと「今は買わなくても良い」のではないかな…?というのが率直な感想です。
その理由について以下書いていきます。
精度が低すぎる
上記の通り、LuminarHDRマージのHDR画像の統合精度が低すぎます。
多分バグ等による一時的なもので、すぐに改善されると思いますが、少なくとも改善されるまでは購入すべきではないと思います。
アップデートで改善され次第こちらでお知らせします。
HDRマージ機能って使いますか?
そもそもHDR結合って手法をそんなに写真に使いますか?
僕自身、年間に相当数の写真を撮りますが、HDR写真というのは数えるくらいしか作ったことがありません。
風景写真に限ったとしても、ネイチャー系はレンズやフィルターなどで現場勝負をして、なるべくありのままの写真を狙いにいきますし、スナップ系はHDR写真のような細かい加工をすることはありません。
思ったより使い所がないんですよね…
HDR統合が必要な場面って風景写真かつ特殊な表現をする場面に限られます。
そこで、HDR統合を使った写真のサンプルなどをたくさんご覧になった上で、ご自分が作りたい作品に必要な要素かを確認した上で購入するとよいと思います。
現場でブラケット撮影が面倒
現地で露出を変えて、複数枚の写真を撮るのって意外と忘れがちで面倒くさいんですよね…
カメラ側で自動でブラケット撮影をしてくれるとはいえ、ついつい切り替えを忘れてしまいます。
HDR統合はその性質上、露出を変えた複数枚の写真が必要なので、現場でHDR画像を作ろうと決めてブラケット撮影をしなければなりません。
普通に撮影した上で、後から部分的に明るくしたい暗くしたいということは出来ないのです。
そういう意味でHDR画像を作るのは柔軟性が少し欠け、面倒くさいなと思います。
カメラ内部で出来る
実はHDR統合して、合成画像を作るのは、今のカメラだとカメラ内部で出来ることが多いです。
カメラの標準機能としてHDR統合機能が搭載されているのです。
もちろん、カメラの内部でHDR統合をする場合は、作られるデータは強制的にJPEG画像になるので、LuminarのHDRマージのようにRAWで細かい調整をした上で、改めて画像を統合して、HDR画像を作るというようなことは出来ません。
しかし、HDR画像はすでに加工画像なので、別にRAWで細かい調整をする必要があることは少ないのJPEGで十分ですし、RAWで細かい調整をするのならば、別にHDR合成する必要もないと思います。
以上よりカメラ内部で出来ることをわざわざPCで独立してやる必要もないと思います。
RAW現像で調整すれば出来る
最近のカメラは優秀でRAWデータのダイナミックレンジもかなり広いので、撮り方さえ間違わなければ(適正露出とは限らない)、明部暗部ともに調整時、かなり粘りがききます。
ダイナミックレンジを広げるRAW現像をすれば、HDR統合した画像とまではいかなくても、見た目上はかなりそれに近い写真を作ることが出来ます。
そうなると、別にHDR統合なんて面倒くさいことをしなくても、後でRAWデータを現像すれば済むのではないでしょうか?
他のソフトでも出来る
HDR統合って結局Photoshopなどレイヤー機能があるソフトがあれば結構簡単に出来るんですよね。
HDR統合って難しい名前で言ってますが、これって単に「比較明合成」「比較暗合成」のことからね…
画像加工ソフトを使ったことがある方ならば誰でも使ったことがある技術だと思います。
ということで、レイヤー機能がある画像加工ソフトさえあれば、HDR統合は出来ます。
Photoshopはもちろん有名な以下のソフトなんかでもできます。
ペイントツールのスタンダード【CLIP STUDIO PAINT PRO】また、HDR統合くらいであれば、それだけ行うフリーソフトやWebサービスなども世の中にはたくさんあります。
料金が高すぎる
skylum社は今回マーケティングをミスしている可能性が高いですね。
今まで単独で販売していた「旧Aurora HDR」をLuminarNeoに組み込んで拡張する機能とはいえ、いくらなんでも価格設定が高すぎます。
LuminarNeoの拡張機能として出すのであれば、2000円~3000円くらいで欲しいところですね。
そうなれば、HDRの統合に複数のソフトを使わなくてよくなり、LuminarNeoの内部で完結するのでそれはそれで便利になるでしょう。
いずれ価格は下がるかもしれませんので、そのときを待ちましょう。
結論
少なくても、アップデートによってバグが解消され、HDRの合成精度が上がり、価格が下がるまでは買わない方が良いです。
もし、HDRの合成精度が上がり、価格が下がった場合、ご自分の作品に必要な機能かを考えた上で、購入を検討されるというのが良いと思います。
まとめ
今回LuminarNeoの拡張機能「HDRマージ」についてはかなり厳しい評価をしました。
しかし、LuminarNeo本体はとても使いやすく良いソフトであることには変わりありません。
もしまだLuminarNeoを購入されてない方はLuminarNeoの単体購入を是非検討されてみて下さい。
コメント
設定で「自動アライメント」を有効にすれば、自動で位置合わせしてくれます。
ありがとうございます!
早速やってみた上で記事を修正致します。
情報提供感謝致します。
若干、使いこなしに問題あるように思えます。
① おそらくブレが生じた画像の元写真3枚は手持ちで撮られたと思いますが、ある程度スローシャッターになる場合、上の方もご指摘のように、自動アライメントは必須です。(日中であればしっかり構えれば5枚合成くらいであれば不要のハズ)
② ±0.3EV 3枚合成程度では、大した効果は得られないし、そのくらいだったら 「アンダーで撮って、現像で暗部を持ち上げて」 でも同様な結果が得られると思いますが…
自分は写真くらいの、いわゆるマジックアワーの時間帯でも最低 ±2EV、完全に夜の場合は +3EV〜-5EV 5枚合成にしてます。→ 左記ぐらいの設定にすると、通常の RAW 現像ではなかなか得難い写真が生成できると思いますよ〜。
※ HDR ブラケットは…まぁ、シャッター押下が複数回必要になるわけではないので、慣れればどうってことないかと。
ご指摘ありがとうございます。